第21回 なにが必要か?


最近、知人から家を建て替えようか改築しようかで迷っていると相談を受けました。既に設計図面は出来上がっているそうですが、離れの建物をどうしようかで迷っているうちに本宅の方にも迷いが伝染して、よそへ引っ越した方が良いのかもという迷いまで生じているのだそうです。

私は住宅設計には詳しくないです。しかし話を聞くと、ソフトウェア開発で言うところの要求定義が不完全だということが分かりました。できればどのような暮らしがしたいか(ソフトウェアなら、そのソフトで何をしたいのか)というシナリオを作ると良いのですが、そこまでしなくてもどんな家が欲しいか(or必要か)をしっかり把握すれば迷いも無くなるのにと思いました。この作業のことを『要求レビュー』とよび、これがしっかりなされていれば必要な機能を必要最低限のコストで実現することができます。

今シーズンは高水続きでオモリを使う釣りが多く、自分の持っている竿では思ったような釣りができない機会がしばしばありました。そこで硬調の竿を1本Getしようとオークションで物色しています。前述の要求レビューをした結果、必要な機能(性能)は「3号から4号のオモリを使える竿」ということになりました。シナリオにすると、“シーズン中に3〜5回の釣行に使うだけだが(使うだろうが)、荒瀬で20センチオトリに22センチの鮎を狙う釣りに使える竿。できれば引き抜ける竿”です。これで自分なりに条件を決め、「メーカーの推奨オモリ負荷6号/8号、穂先の太さなら1.9ミリから2.2ミリくらい。メーカーは特に問わず、予算は?万円程度(入札に差し障るので内緒)」としました。長良川で使うのがメインですし、使うのが精々シーズン数回の竿にそれほどの金額を使いたくはないので先の条件としました。でもなかなか思ったようにはならず高値に行ってしまい、予算的に落札は容易ではありませんが、迷いが無いぶん希望は持てます。また、今シーズン(2003年)がスタートする前にメインロッドを新調したのですが、この時の必要とする性能は「風に煽られないこと」でした。先シーズンまでのメインロッドは、少し風が吹くと竿が煽られて釣り難いことがありました。今度のは結構な風でも煽られることがなく快適です。思ったよりも調子がやや硬くはありましたが、奮発した甲斐があったと満足しています。

なぜこんなことを持ち出したかと言うと、オークションでの釣竿の出品理由に「自分の釣りに合わなかったから」というのが時々あるからです。使ってみて初めて分かることもありますが、中には結構な金額の竿を数回使っただけで手放したり、使わずじまいで売りに出すといったケースもみうけられます。使わずに仕舞い込むよりはマシにしても、それ相応の値段で落札されますので減価も馬鹿になりません。出品者の方は必要とする、もしくは欲しい機能なり性能がはっきりしていれば、直ぐに手放すといったことをしなくて済んだ可能性もあります。

私も以前に失敗して、8万円くらいで購入した竿を3シーズン中に2回使っただけで3万5千円ほどで手放したことがあります。硬調の竿で、瀬でオモリを使った釣りを「やりたい」と思って買ったのですが、いわば思惑の買い。当時はほとんど使わずじまいで、おまけに寄せて捕る向きに設計された胴調子の竿でしたので上手く引き抜けず、以後は使わないだろうと思って手放したのでした。今なら丁度お誂え向きの竿ですが、やはり購入した時には必要とする竿ではなかったので余分な出費であったと思います。

今回の話題は釣りに直接関係ありません。でも万事いろいろな事柄を決めるに於いて、はっきりとした条件なり要求や必要とする結果を持っているのは大切なことだと思いますし、楽しい釣りにもつながると思いますので話題にしました。私なりに迷いを解決するひとつの方法として、こんなやり方をしています。


このページはここで終わり

[戻る | Index]

Yoshihiro Sogabe in Gifu 2003-09-23