第5回  川見


今回は川見です。場所(ポイント)に関する技術が友釣りの技術の中で最も重要な技術だと思いますが、その中でもポイントを見つける技術”川見”が大切だと思います。そして川見は目印を読む技術との合わせ技だと思っています。しかしこの川見については一般的な判断基準などは本やビデオで紹介されていますが、具体的な練習方法は滅多にお目にかかりません。私は良い師匠に巡り会えたのと、たまたま相場のやり方を川見の練習に応用してうまくいったので良かったのですが、そうでない人は下手すると一生ポイントの見極めが出来ずに終わっていくかもしれません。本やビデオ、釣りの講演会でも上級者は超重要なことは口にされません。ただ、講演会では質問の尋ね方にもよります。本やビデオでは伝えにくい技術の場合は、「○○の技術について、○○名人は具体的にどういうやり方で練習されましたか?」と尋ねると良いと思います。はぐらかされない限り、教えて下さった練習方法をやれば出来るようになります。

話しが逸れましたが、本題に戻します。私はある時までは主に石の配列というかいわゆる川相と流れの波立ちだけで場所決めしていました。1匹目が早ければ大体順調。しかし、なかなか掛からない日はサッパリ。しつこく攻め続ける傾向があり、場所変えはあまりしませんでした。ところが鈴子陽一氏の著書『友釣り強化書』を読んで場所の重要性を認識。師匠の竹田さんが何かにつけて「ピカピカの石」と言われ、「ハミ跡を探せ」と教わって今日に至っています。川見の力が付いてくるに従って何が変わったか。それは1匹目を掛けるのが早くなったことです。それと混み合っていてもいわゆる竿抜けというか、結構掛かるポイントを見つけられます。”良い場所”という先入観にとらわれて失敗することもありますが、それは”見切り”の力を付けることで解決できるだろうと思います。

自分がやっている川見のやり方。基本はやはり川相です。瀬、チャラ瀬、トロ場など。そして水深。その中でもできるだけ石の頭が水面に出ていて付近に砂が無い場所を探しています。トロ場主体の場所で石の頭がほとんど出ていない場合は、辺地の石の頭の出具合で決めています。同じように見える瀬でも左岸は良いが右岸はダメとか、白波は立っているが石の頭は全然水面に出ていないので起伏が少なくあまり良くない瀬だろうとか、水深はあまり無いが石の頭がたくさん出ているので(いわゆる飛び石なので)期待できるだろうと言うように判断しています。

そして付近に砂の堆積が無いか、砂利の中に砂が混じっていないかを確認します。かつて長良川水系には砂はほとんどありませんでした。しかし東海北陸道の工事の影響で土砂が流れ込んで、相当影響したように思います。高速道路の工事も終わり、先シーズン(2002年)の川底の感じでは砂の影響は徐々に少なくなくなりつつあると思いますが、今度は護岸工事の影響で砂が発生することがありますので、やはり注意が必要です。良さそうな瀬に見えるのだが掛からないといった場合は、砂は無いかどうかを確認するとよいと思います。最後にハミ具合というか石の艶というか明るさ。基本は明るく見える所。アカ腐れになって全体が白っぽく見える時は暗い所。アカが飛んでしまった時は黒い所です。

さて練習方法です。それは自分が釣れたポイントを【必ず】よく観察しておくことです。深くて流されてしまう場合はともかく、近くまで行って見ておく。1匹しか釣れなくても【必ず】見ておく。それの繰り返しです。更に、他の釣り人でよく釣っている人が攻めた後もよく観察しておきます。入れ掛かりの釣り人が、ピンピンの元気オトリで掛けまくったポイントにヨタオトリを持って入っても、まず掛かりません。おおかたはやるだけ無駄。ですので、その釣り人が移動した後に釣れていたポイントの近くまで行って見ておきます。最初はあれやこれや考えてもよく分からないので、こんな場所で良く掛かったという事だけ見ておきます。するとそのうちにいろんな事が分かるようになります。回りと石の色が違っていたり、溝になっていたり、馬の背になっていたり、ポコンとひとつだけ縄張りの跡があったり、近くに行くと鮎が走ったりと。そしてあるとき川を見て「これはいけそうだ」とひらめく時が必ず来ます。そしたらもうこっちのものです。川見の力が付いてきたのです。ためらわずに竿出しです。すると直ぐに1匹目が掛かり、その後も順調。「やった!今日は釣れました!!」このひらめきがあれば3回に2回ぐらいは良い釣果に恵まれます。このぐらいの実力になったらもう一つやっておきます。それは見込みをつけて竿出ししても、掛からなかった場所をよく観察しておくことです。これは釣れそうで実際には釣れないポイント、いわば見せかけのポイントを見抜く力を養うためです。このダメ場所を見極める力はそれほど真剣にやる必要はありません。良い場所を見つける力のほうが遥かに重要ですし、ダメ場所ばかりが目に付くと、先入観でかえって小さな良いポイントを見逃してしまいます。

ところでいつもひらめきポイントが見つかるとは限りません。8月の渇水期や、先シーズン(2002年)のように鮎が薄い年などは特にそうです。そんなときにはまあまあのポイントでも入ることになるのですが、そこで目印を読む技が必要になってきます。そのことについては次回に触れます。


このページはここで終わり

[戻る | Index]

Yoshihiro Sogabe in Gifu 2003-06-09