第3回  目印を読む


“1場所、2オトリ、3に腕”とよく言われますが、友釣りのコツはやはりこの3つではないかと思っています。これから数回はこの事について考えていきます。最も重要なのは場所(ポイント)に関する技術ですがストーリーの展開上、まずはオトリ操作を支える目印を読む技術について触れてみます。

みなさんは目印が読めますか?“見える”ではなく“読める”です。私もある時までは全くと言っていいほど読めない、いわば見えてはいるけど目印が出す信号には気が付かない状態でした。さすがに目印が走って掛かったのは分かりましたが、エビになったとか根掛かりした、オトリが不自然な泳ぎをしているなどということにはなかなか気が付きませんでした。

目印が読めるようになったもともとのきっかけは師匠の竹田さんに、「一発で掛かる泳ぎは分かるでしょう?」「一発で掛かる泳ぎで2回か3回泳がせて掛からなかったらもう(鮎は)居ないと思ったほうがいいよ」と教わったことです。同じポイントをしつこく攻めているのを見かねての事でしたが、それ以後は目印の状態に意識して注意を払うようになりました。そして競技会(1999年Daiwa鮎マスターズ:釣行記参照)で観戦しているときに、オトリが弱って泳ぎが不自然になってくると目印が微妙に振るえ始めることに気が付きました。この時やっと開眼して目印を読めるようになり、今では根掛かり、エビ、サカバリの外れも大体は分かるようになりました。

ほとんどの方は一発で掛かる泳ぎ。水中糸がスーッと水面を切り、如何にも掛かりそうな目印の感じは分かると思います。しかしオトリが不自然な泳ぎをしているときに出る微妙な震えについては、かなりの方が気が付いていないだろうと思います。これが分かるようになればもうこっちのもので、オトリが不自然な泳ぎをしているのですから目印の位置を変えてみたり、水中糸の角度を変えるなど糸フケや張り具合を調節してオトリが楽に泳ぐ、言ってみれば出来るだけ一発泳ぎになるような竿操作をすればよい訳です。さらに慣れてくると泳ぎの不自然さの度合いも分かるようになります。個人的には一発泳ぎ、80点の泳ぎ、60点、40点、ダメオトリの5段階に分けています。一発泳ぎと80点の泳ぎでは2,3回泳がせて(探って)掛からなければそのポイントは打ち止め。60点では3〜5分探ってみて移動。それ以下はオトリが弱っていますので元気なのに替えますが、弱ったオトリでも何とか60点の泳ぎが出せれば、そこそこ掛かるポイントなら5分ぐらいで掛かりますし、リリーフが無くそのまま頑張る場合は40点の泳ぎでも1時間泳がせられれば何とか掛かる様です。釣行記などで”オトリを落ち着かせるようにして・・・”と書いているのは、なるべく一発泳ぎに近づけるような竿操作をしているのです。

さて目印を読む練習方法ですが、自分はこうしていました。それは「今は何点か?」「80点」「今の泳ぎは一発泳ぎ」「これは60点ぐらいか」と、常に自問自答しながらできるだけ一発泳ぎになるように竿操作しながら釣っていました。そのうち何点ぐらいかの目安が付くようになり、更にはエビになったりサカバリが外れたりすると「何だか様子が変」と感じられるようになります。そのときにはすかさず引き戻して確認するようにすれば、エビやサカバリの外れも分かるようになります。野鮎が居るらしいという感じも分かる時がありますが未だ不完全で、経験を積めばもっとハッキリしてくるだろうと思います。

目印を読めない頃はいわば手がかりなしで釣っていましたので、泳ぎは良いのか悪いのか、場所が悪くて掛からないのか?仕掛けをいじったり本を読み漁ったり、迷うことが多かったです。目印はかなりの情報を送っています。目印が読めると鮎ビデオもより面白くなり、その日は釣れなかったとしても釣りに自信がもてます。


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Yoshihiro Sogabe in Gifu 2003-06-02